わざわざコストをかけ、面倒な手続きを経由しなくても事業を行うことは出来ます。 それなのに多くの人は会社法人という形態をとって事業を展開していきます。 その理由のひとつは、会社を作ることは思ったより簡単だということです。 そして、事業を会社として展開するメリットはさらに大きいものがあるのです。
多くの起業家が会社を設立するのは、大きく3つのメリットがあるためです。 1.信用の増大と経営の安定 2.責任の軽減 3.節税目的 以下、個人事業との比較を交えてメリットについて解説しましょう。
1.信用の増大と経営の安定
まず、信用増大とそれにともなう経営の安定があげられます。その効果は、さらに対外的効果と対内的効果との2つに分けられます。 対外的効果 これまでの日本では、「株式会社」が事業の基本形であり、その物に対する社会的信用(ブランド力)を 持っていました。新規取引のケースを考えてみても、個人事業主よりは会社のほうが相手方の信用を得やすいことを感じられるでしょう。 さらには、公共機関や大企業の中には、会社法人以外の者との取引を行わない場合もあります。 また、金融機関からの融資や、事業のために出資者からお金を集める場合にも個人事業では成果が上がらないケースもあります。 これらのことを言い換えれば、事業を展開していくについて『個人事業』では限界があるのです。 そして、個人としては出来ないことを組織力で成し遂げることが、会社の真髄だと考えられます。 対内的効果 個人事業では、事業主の死亡や事故により事業は終わってしまいます。 一方、会社の場合、うまくやれば先代の得た信用やノウハウさらには経営理念を永続的に受け継がせることもできます。 会社ならば、個人財産と法人資産を分けることもできます。分けることで、しっかりと公私を整理することも可能です。 また、不動産などを法人として所有することもできるのです。 会社ならば、社会保険などによって従業員に対する福利厚生を充実させることができます。 また、求人募集の場合などでも、個人事業よりも会社のほうがイメージが良いため優れた人材を集めやすくなります。
2.責任の軽減
個人事業の権利義務は、すべて事業主個人に帰属します。これは全責任を事業主個人が負うということです(無限責任)。 つまり、仮に事業に失敗したときは個人財産を手放してでも、債務の支払いに充てなければなりません。 一方、法人とは「人間以外で、法律上の権利義務の主体となることが認められたもの」のことで、 個人とは切り離された法律的な人格が認められています。そのため、法人が株式会社や合同会社ならば、たとえ会社が倒産しても、個人財産をそのまま保護できる可能性があります。 ただし、日本の場合、金融機関などから会社が融資を受ける際、必ず代表者も連帯保証人とされるため、実質的には完全な有限責任だとは言えません。それでも、代表者が個人保証をしない取引なども多いためメリットはあります。
3.節税目的
個人事業主の場合には経費として認められなかったものが経費化できることがあります。 たとえば、代表者の役員報酬や退職金などです。ただし、この点については税法改正が予定されております。 また、法人の費用で代表者に保険をかけたり、すでに消費税を収めている個人事業主が法人化すると 一定期間消費税の免除を受けられたりといったメリットがあります。
法人化の話題になると、税金が安くなるとか、有限責任でいざというとき助かるかも?といった事柄が先行します。 これはこれで大きなメリットではあるでしょうが、私はこの法人の『いいとこどり』といった考え方には疑問を持ちます。 法人と言うのは、あくまで公共の器を借りて経営することであり、代表者の個人的な私利私欲のために存在しているのではありません。 事業の取引先や従業員が一人でもいれば、代表者が身勝手に経営してはならないのです。 そして、「公共的な責任を果たす」からこそメリットを享受し、会社も代表者個人も潤うべきなのです。 私は、こういった意識を持ち続けることが、永続的な利益を上げ、関係者に利益を与え続けられる「ゴーイングコンサーン企業」になり得ると考えます。 昨今起こっている大企業の不祥事などをみても、こういった公共性の概念が足りないと思われるケースが多くあります。 是非、これから起業をしようとする皆様には、志を高く持ち、社会に必要な会社を育てて欲しいと思います。